川瀬浩介|生きる。

或るロマンティストの営み

【人知れず波瀾万丈】

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2018年6月2日

明けて現在、翌3日、午前3時──昨日、現場入りしてから見舞われた風邪のような症状もようやく収まってきている。

昨晩の夕食後、宿に着いて即、入浴したあと眠りに落ちたのは、恐らく21時ごろ。風呂で温められた微熱を帯びた身体はほどよく発汗し始め、25時過ぎに目覚めたあとは、だいぶ爽快な気分になっていた。あれだけ滝のように流れていた鼻水は止まり、今度は鼻詰まりへと変わったが、上演に支障がでるくしゃみが収まって安心した。

昨日の朝、特急列車に乗るため向かった新宿駅までの在来線が異常な混み具合で、キーボードを含めた少し多めの機材を運んでいたものだから、周りへの気遣いと運搬による筋肉運動で、予想を超えて相当な汗をかいてしまった。汗が引いて寒くなる気配は美術館に到着するまでなかったのだが、機材セッティングや衣装の吊り変えなどで埃がたったのか、生来の鼻炎の症状も重なり、一気に風邪のような状態に見舞われだした。

携帯していた鼻炎を抑えるための処方薬を飲んだものの、鼻水が止まらず…鞄のなかに残っていた使われなかったままのマスクを装着しても抑えきれなかったので、マスクの下にハンカチタオルを挟んだ状態でどうにか本番を乗り切った。

限られた仕込み時間に機材トラブルに見舞われ悶絶するなか、体調不良で頭はぼんやりし始める──途中、どうしたらトラブルを回避できるか解決策を見失いそうになったけれど、10年近いライブパフォーマンスの歴史のなかで、始めてバックアップマシンをメインに置き換えてシステムを組み直し本番に挑むことに決定。作業を並行してメインマシンの復旧にも試み、本番ではいつもと同様に2台のマシンが同期して再生を行うバックアップが整った環境下でプレイ──。

丁寧な準備をして現場入りしたダンサーの、言葉を喪うほどに美しく煌めき溢れるパフォーマンスに圧倒されながらも、演者の一人として、至福のときを過ごすことができたのは、いつもながらに、とても幸運だった。

本番は、機械任せになるため、トラブル対策は欠かせない。加えて、ぼくの体調不良も考えずにはいられないとなると…できる準備は今夜中に済ませておきたく、言うことをきくようになった身体を動かして、昨日録音した本番の音源をiPodに移植する作業を実行。さらに、本番で気になった箇所を修正して、今夜の任務は完了──再び床に就いて、現在に至る。

万全の体調ではなかったけれど、名演を終えたあと、夕食にいただ絶品ピザは、相変わらず各別だった。


──市原産トウモロコシとミニトマトのピザ──


そしてお気に入りのスムージーも旬の材料に入れ替わり、いちじくからイチゴ(市原産とちおとめ)へ──鼻の具合が万全ではなくとも、目がさめるほどフレッシュな味わいで慄いた。これまでのぼくなら迷うことなくおかわりしていたところだが、今日も自制。体調のせいか、己を律しているこのごろの成果なのか、今日は腹7分目くらいで満足感を得た。


──このまま、このまま、このまま──


午前3時30分──既に空腹を感じ始めている。朝食を楽しみにしながら、もう一度ぐっすり眠ろう。


──今日はどんなパフォーマンスになるだろう?──


一度たりとも同じ瞬間が存在しない40分──人が舞うというその営みは、まさに「生きる」ことの表象である。

「今」という奇跡のときを当たり前の出来事として見つめていられる幸運を噛み締めながら、再び今日という日を生きたい。もしこの闇がもう明けないとしても悔いのないように。


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