Between Calmness and Madness
環境を変えるときにはとにかく慎重に──。
かれこれ25年ほど前、まだOSがわずか6枚のフロッピーディスクで供給されていたころ、初めて我が家にやってきたMacintosh Classic IIを手にした初日に起動できなくさせたぼくは(OSフロッピーを消去してしまった)、以来とにかく「バックアップ」を欠かさない。
その、いわゆる「ビビり」な質の甲斐あって、それから大きなトラブルに陥ったことはないが、OSが爆発的に巨大化して以降はバックアップにも骨が折れる。
アップデート前には旧OSのクローンを作って、音楽系ソフトウェアとプラグイン、外部機器のドライバーの対応状況と不具合を確認して…。
アップデート後は原因不明の不具合に悩まされることが多いが、どうやら今回はうまくいったようだ。
そのうえよせばいいのに、同時にスタジオの再構築とサラウンドモニター化を実行したものだから気が気じゃなかった。
大好物のプレッシャーがあまりに過剰すぎたせいもあるのだろう。それがこの股関節の痛みの原因のひとつと言えなくもないはずだ。
さて、なかでもとても気がかりだったサラウンドモニターのチューニングと音量の調整方法だが、これも見事に整っている様子。
「作曲しているときはステレオで作業してミックスでサラウンドに割り当てればいい」
と思っていたけれど、作曲中からサラウンドスピーカーに音を飛ばしていくと、それだけで実に心地よい。
何より、音が飽和しない。
まさに「抱かれている」感覚に浸れる。
光の射し込まない閉じきった窓に向いて作業することも心配だったが、いただいた薄型LED照明=nittoh Lightfaceによる背面の壁から照らされる間接照明の効果も加わり、時間を気にせず没入できる(ただいま表は明るい)。
もしかすると、体内時計を余計に狂わせる要因になるかもしれないけれど、近年、いつになく集中できている実感がこのところあることが何より嬉しい。
いま行なっている作業は、昨日の段階よりさらに進んで、だいぶ全体像が見え始めている。
──静寂と狂気の狭間に在る情熱──
そんなものが表現できたらと切に願う。
そしてこの「センタースピーカー」をぜひ活かしたい。
ここから鳴る、完全なるモノラルなトーンが、サラウンドでの音作りの醍醐味なような気がしている。
得意の朗読でも入れようか?
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